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 ■缶の誕生
容器としての「缶」(清涼飲料缶を含めて)は、その製法、形状からして2種類に別けられることご存知でしょうか?
その一つが鉄板を丸めて溶接あるいは接着し、底と蓋を「かしめ」てとめた、いわゆる「溶接缶」でありまして、缶胴、底、蓋の 3パーツからできておりますことから、これを業界では「スリーピース缶」と呼んでおります。これにたいして、缶胴 と底は「絞り出し」の一体で、これに蓋を「かしめ」て、2パーツで作られた缶を「ツーピース缶」と呼ぶのが業界で の習わしであります。
今日の「ビール缶」は全てこの「ツーピース 缶」であります。ここでは、この「ツーピース缶」についてお話してみま す。わが国で「ツーピース缶」が作られ始めたのは、今からさかのぼること30年前(1972年)でありまして、それ以前にアメリカでは既に 「缶ビール」が出回っておりました。ビール容器としての「缶」は「割れない」こと、「軽い」こと、「遮光性が完璧である」こと、等々従来の「瓶」に比べて 様々な利点がありました。アメリカで産声をあげた「ビール缶」は、アルミ製の「ツーピース缶」でありまして、アルミの柔軟な加工性を利点として数社の大手 アルミ製造会社が開発、生産を始めたのでありました。
これの流れとして、それらアメリカの会社と技術提携関係にありましたわが国のアルミ製造会社が、アルミ製 ツーピース缶の製造を開始したのが、今日に日本でみら れる「ビール缶」の始まりであります。それ以前における「缶」の製造(製缶会社)は 東洋製罐、大和製缶、 北海製罐の3大メーカーのドクダン場でありましたが、鉄缶(いわゆる「スチール缶」)が主流でありまして、ここに 三菱アルミ(製缶:三菱マテリアル)、昭和アル ミ(製缶:昭和アルミニウム缶)、が前後して「製缶」会社の仲間入りとなったわけであります。後に日軽アルミ(製缶:日本ナショナル製罐)がこれに加わり、今日で は日本の3大アルミ製造会社が競って「アルミ缶」を生産しているのでございます。
もちろん 東洋、大和、北海の3大メーカーも、これに負けじと頑張っております 次第であります。ちなみに、ビールを缶に詰めるという発想は1935年にアメリカで生まれたものでありまして、それから23年の後に日本で最初に「缶ビール」(右写 後方)が発売されました。1958年のことであり「スリーピース」のスチール缶でありました。その後約45年を経て右写真のごとく「美しいビール缶」となったのでございます。